渚君は歳三様に仕事の話をしようとリビングルームでテレビ電話。

でも、具合が悪いのか、テレビ電話に出て来たのは奥様の薫様一人。

私はリビングルームのドアの前で、眠る智樹を抱っこしながら、二人の会話を盗み訊いていた。

「那岐様??」

「あ…中田さん??」

「ここで何を?」

偶々、通りかかった中田さんが訝し気に私の顔を見る。

「今、渚君はお母さんの薫様とお話しています」

「・・・」

「中田さんは歳三様の病をご存知なんですよね」

「存じております」

「そうですか・・・もしかして、知らなかったのは渚君だけですか?」

中田さんは眉を顰め、悲痛な顔で、頷いた。


ここに来て、4日目の私が知ってて、息子である渚君が知らないなんて…可哀相。