二階に続く、階段へと上がり、奥の教室に入った。

後の部屋は物置状態になっていたが、この部屋だけは綺麗に掃除され、重厚な応接ソファが並んでいた。

「ここは何ですか?」

「ここは・・・商談室。『生徒会』御用達と言ったけど、使用しているのはほとんど俺」

「はぁ」

「まぁ、座って・・・」

白石君に促され、私は同じソファに腰を下ろした。

フカフカした黒の皮張りのソファ。

「このソファ、高いですよね・・・」

「まぁ、イタリア製だからね・・・」

お互いに離れて座っていたけど、白石君の方が私の方に寄って来た。

甘めの花のような香りが彼のカラダから漂う。

「花の匂い・・・」

「あ・・・まだ、匂う??昨日のオンナは香水がキツかったから・・・」

「昨日のオンナ?それが白石君の彼女?」

「俺、彼女は作らない主義。
ビジネスに支障出るからね・・・」

「ビジネス??」

「うん。でも、那岐ちゃんとはビジネス抜きで、シたい・・・」

「何を?」

「何惚けてるの?氷室先輩と夫婦なんでしょ?」

「え、あ…まぁ。確かに夫婦ですけど・・・」