ありえない高校生マリッジ

その5年後に那岐は乳癌で死去。

俺も体調を崩し、入院したーーー・・・


那岐の葬儀の時、敦司から郵送で香典は貰ったが、直接会うのは31年振りだった。

「具合はどうだ?渚」

「・・・敦司が見舞いに来てくれるなんて・・・夢みたいだ」

「・・・31年振りだな・・・」

俺は『スコール』会社社長。
敦司は『帝和銀行』頭取、そして父の意思を継ぎ、総理の椅子にも座り、今はコンサル会社の社長。

俺は上体を起こし、敦司と話をした。


「起き上がっていいのか?」

「大丈夫だ・・・」

那岐を亡くし、俺は自分の半身を失ったような心地だった。

「那岐夫人が亡くなって、もう1年か…こんな風に早く亡くなるなら…会っておけば良かったな」

「・・・那岐は死んでしまったけど・・・俺にはまだ幼い娘が居る・・・」

だから、まだ死ねない・・・

「陽依が嫁に行くまでは…死ねない」

「陽依ちゃんと言うのか・・・」

「まあな・・・」

俺はベット脇のスマホを手にして、敦司に自分の娘の画像を見せた。

「可愛いな・・・」

「明るくて…那岐のように可愛い女の子だ・・・」