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敦司は父親と同じ政治家ではなく『帝和銀行』に入行。
そのせいもある俺達は二度とお互いに友達としての付き合いはなかった。

俺と那岐は子供に恵まれなかった。その間に母が亡くなり、智樹は成長し、アイドルユニット『スターファイブ』のメンバーの一人として活躍。
芸能界引退後は俺の後継者として『スコール』に入社。


そんな折、俺達は銀婚式を迎え、その年に娘を授かった。


俺は43歳。
那岐は41歳。

待望の我が子だったーーー・・・


「名前は決めてあるの・・・」

俺は那岐の病室で我が子の名前を考えていた。

「どんな名前だ?」

「陽依(ヒヨリ)」


「陽依か…いい名前だな・・・」

「・・・」

「そう言えば、今日は小陽日和だな・・・」

「渚は全然気づかないのね・・・」

「何が?」

「もういいわよ」
那岐は呆れて、話を畳んだ。

俺だって本当は分かってる・・・

敦司の娘の小陽ちゃんだって・・・

小陽ちゃんと陽依ちゃん・・・何の柵もなく、将来仲良くなれればいいのにな・・・