私のお父さんと呼んでいた人は心から母と私を愛して、大切にしてくれた。
自分の保身なんて全然考えていなかった。

伊集院先輩のように自分のコトよりも他人に優しくする人だった。

「鷹栖さんは凄く母を私を愛してくれました」


「那岐ちゃんの父親は鷹栖さんだ。そう思えばいい・・・」

「伊集院先輩・・・」

「くしゅん」

私にパーカーを羽織らせ、薄着になった伊集院先輩が肌寒いのかくしゃみをした。

「あ…パーカーお返しします」

「いいよ。そのままで・・・智樹君をこれ以上一人にしていたら、可哀想だし、そろそろ部屋に戻ろう」