透明度にゼロを贈れ



なかなか手強いな、
と彼は思った。

テレビで見る華やかな印象は
受けるのに
言葉に力を感じない。

なのにしゃべり方が美しすぎて
妙に惹かれるのだ。



これが佐倉彩和の魅力か。


確かに時間を割いてでも
ライターが記事を書きたがり
都合が合わなくても
なんとか映画に彼女を出演させたいと
願う気持ちが分かった。



彼女と同じ空気を
共有したいのだ。


それは天性のものに
彼には思えた。