残念そうな顔をする女性を見下ろしてしばらく様子を見ていると、突然その女性はガバッと顔を上げる。

「あ、そうだ。あたしは瀬戸内麻理亜。あなたの名前を教えて?」

「ベリルだ」

 用事も済ませ、さして急ぐ事もないので彼は少しだけこのやりとりに付き合ってやろうと考えた。

 このまま諦めてもらえたなら良いのだが……

「そうだ。ベリルさん、じゃあ、責任とって、あたしに、あきらめさせて!!」

「……」

 そう来たか。

 それになんの責任なのだ? ベリルは眉をひそめた。

 なかなか面白い子ではある。

「私に何をしろと」

 諦めさせてと言われても……何をどうしていいのか解らん。