傭兵という見た目からは考えもつかない仕事に就いている彼はこの日本にちょっとした用事で来ていた。

 この公園はその場所の行き帰りに丁度良い近道で、ついでにバラも楽しめるという特典付きのため彼は気に入っている。

 花が特に好きという訳ではないが、咲き乱れる様はやはり見ていて気分が和む。

 まだ陽は高い。

 のんびり歩いて帰るか……と思いながらバラを一瞥していく。

「あの!」
「ん?」

 後ろから突然、呼び止められ振り返る。