本来なら違和感バシバシで幻滅モノだと思われるのだが、その上品な食べっぷりにむしろ彼のための食べ物なのかと錯覚してしまいそうになる。

 とても複雑な表情で見つめている彼女を視界に捉えながら食べ進めていると──

「えいっ」
「!」

 突然マリアはクリームを指に取りベリルの頬に塗りつけた。

「……?」

 訳が解らず眉をひそめる。

 彼女は自分でやっておきながら目を丸くしていた。

「……ごめんなさい」

 ハンカチをバッグから取り出してクリームを拭き取る。