パフェごときで諦めてくれるなら願ったりだが……と熱い視線を無視するように宙を見つめる。

 マリアを一瞥すると、彼女は喜んだり溜息を吐いたりころころと表情を変えていた。

 面白い……ベリルは「ククッ」と喉の奥から絞り出したような笑いをこぼす。

 すらりと伸びた足と腕を組んで店内に流れているクラシックに聞き入る。

 女性客はベリルが気になるのか時折ちらちらと視線を向けていた。

「あのさ、ベリルって、普段何してるヒト?」

 間が持たなかったのかマリアはぼそりと問いかける。

「知らない方が良い」

 傭兵だなどと知った処で彼女には何の得にもなりはしない。

 少し複雑な表情を浮かべるマリアから視線を外す。

 知らないままでいる方が幸せな事もあるのだ。