彼はローズガーデンの中を歩いていた。

 公園の一角にあるバラ園は地形の影響なのかバラの香りが留まりむせかえるほどだ。

 ソフトデニムのジーンズに黒のインナーと長袖のシャツを合わせた恰好でその青年は色とりどりのバラを楽しみながら通り過ぎる。

 彼はもちろん日本人ではない。

 名はベリル・レジデント。

 金髪のショートにエメラルドの瞳とその整った顔立ちに見合った上品さをかもしだす動きは彼の存在感をさらに際立たせていた。

 息を呑むほどの容姿に目を奪われながらも、想像を超えた雰囲気に声を掛けられる者はいない。