刹那の気持ち、よくわかった。



「私は気にしてないよ」



うそ。

すごく気にしてる。

足は大丈夫なの?



『本当に?』



刹那は私の顔を覗き込んだ。



「ほ、本当だよ」

『嘘つけ!』



やっぱりわかるんだね。

刹那は私の気持ち読めるんだ。

なんでだろう。



『正直に話してやるから、よく聴いて…』



私はうなずいた。

物音一つしない沈黙が続いた。



『俺の足は治る、けど…』


けど?

足は治るんだね。



『もう野球はできない』



この静かな部屋に響いた言葉。

心が砕けた…

信じたくない!

嘘、うそ、ウソ!!



『体力が持たないんだ、もう…
野球したら、喘息状態になるらしい。』



刹那は自分の手のひらを強く握った。

本当なの?

刹那は嘘なんてついたことないよね。

つかないよね?