「うわっ。びっくりした。」

「んー…。何、凛いたの。おかえり。」

「ただいま!」

携帯を取って、部屋から出るお兄ちゃんの横を通りすぎる。

「はぁ、はぁ、遅くなってごめんねっ。」

「走ってたの聞こえてたよ。そんなに急がなくても、待ってるのに。」

ひゃっ。恥ずかしっ。
この家の防音に不安を感じるわ…。

「気にしないで。それでは、お願いいたします……。」

「柳野さんって面白いな。」

そして、交換をしてバイバイをした。
姿が見えなくなるまで見つめる。
今日は幸せすぎる1日だったな…。


「はあ~………。」

「嬉しそうな溜め息だね。」

「ぎゃっ!!お、お兄ちゃん。いつからいたの?」

門に寄っ掛かっているお兄ちゃんを軽くにらんだ。

「いつからって……凛の『遅くなってごめんね。』から。」

「最初からじゃん。」

「…ねぇ、あいつ誰。」

「同じクラスの…。」

篠崎くんとはもう友達でいいのかな?

「ふうん。ふわぁぁ…。」

あくびをすると、お兄ちゃんはさっさと家に入っていった。
マイペースすぎ……。

でも、最高の1日だったな。


今夜はよく眠れそう。


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