その瞬間、あたしは屋上を出て走り出していた。 …─っ、先輩が、荒川先輩が…、女の人の名前を呼んだ。 苦しそうな先輩が頭に付いて離れてくれなかった。 夢にまで出てくる“かほ”さんが、先輩にとって大切な人であることは間違いないだろう。 考えたくないけど、きっと……“かほ”さんは…… 先輩の愛しい人、なんだね。