そうこうしているうちに、紗耶香がゆっくりと帰ってきた。 先輩はそれに気が付いて、耳元で『夏休み中にメールする』とそっと呟いて 「ごゆっくりどうぞ。」 と、あたしと紗耶香にスマイルを振りまいて、厨房の方へ戻っていった。 耳元の囁きと極上スマイルにダブルパンチを受けたあたしは、それからしばらく、ニヤニヤしてしまっていたに違いない。 だって、あたしを見て紗耶香もニヤニヤしていたから……。