私の瞳にも涙がたまる。でも泣いちゃだめ。輝が困るから・・・。
「愛ちゃん、お母さんのことは考えず、愛ちゃんの気持ちを教えて。」
「・・・」
「好きです。付き合ってください。」
答えられるわけないよ・・・。
自分の気持ちにうそはつけない。でも・・・お母さんも裏切れないよ。
私と輝を姉弟として一生懸命育ててくれたお母さんを裏切れないよ・・・。
「こんなこと言いたくないけど・・・。答えなきゃおそっちゃうよ?」
私は正直驚いた。でも・・・ゆっくり目を閉じた。
「愛ちゃん?」
「いいよ。」
「え?」
「私は答えない。」
私はすごく卑怯だ。輝に触れていたい。でもお母さんを裏切れない。
この想いの間で私の心は揺れていた。
輝の気持ちに答えず、輝に触れようとするなんて・・・最低だ。

