「姉貴ー!」

バタバタバタ...
ガチャッ「姉貴!」
ドアを開けると同時に私を呼んだのは

「輝...うるさい。」

何も聞こえなかったかのように布団で顔を隠した。

「うるさいじゃねー!俺は朝練で早起きしてるのに姉貴は寝てるなんてずるいぞ!」

朝練がある部活に入るあんたが悪いんでしょ。
私は輝の言葉を無視し、背を向けるように寝返りをうった。

「あ、そうじゃなくて!姉貴!国語辞典貸して!俺のん、どっかいっちゃった~」

「棚にあるやつもってっていいよ。」

「ありがと!!」

バタンッ!...、嵐は去った。
低血圧の私には輝のハイテンションな声が頭に響いて痛かった。
かわいい弟の声でも時には凶器になる。
あ、弟じゃなかった。
――3日前――