どれくらいの間、抱きしめられていたんだろう。
まだ5分もたっていないはずなのに、
はる君と触れ合っていた時間は、とても長い時間のように感じた。
「……歩夢、ありがと。」
肩を離され、目を合わせればはる君はそう言った。
真っ直ぐで、意志がはっきりとしている目。
揺れてばかりの、私とは…違う。
「……っ。」
近くにある、はる君の顔にどきどきして再び、目を反らしてしまいそうになった。
…緊張しすぎて、変な表情をしているかもしれない。
そう思いながら一生懸命に、はる君の目を見れば、私の頬に手を添えた。
「……歩夢、目閉じて」
優しく、甘く、はる君がそう言ったから私は操られるかのように、自然と目を閉ざした。


