近くに来ただけで、はる君の匂いに鼻が反応して。
はる君の声を聞き取ろうと、耳も反応して。
今、私の全神経がはる君だけに集中してる。
はる君だけが持っている独特な空気。
それが、……居心地よくって。
ずっと一緒に過ごしてきたからかも知れないけれど、この空間がとてつもなく好き。
はる君は、それを気付いてて…やってたりするの?
「…ん?」
軽く顔を覗けば、目が合った気がした。
駄目だ……
次、もう一度はる君の目を見てしまえば、目が、心が揺れてしまう。
………これ以上、嘘をつけなくなる。
だけど、はる君が好き過ぎて泣いたなんて、言える筈も無くて。
もう一度深く顔を俯かせようとした時、だった。
ぽん、とはる君の手が私の頭に置かれた。


