「どうした?」
はる君が心配そうな顔を向ける。
「どうしたって…どうもしないよ?」
そういいながら、テーブルに置いてあった紅茶をまた一口飲もうと手を伸ばす。
「いや、泣いてるから。」
伸ばしていた手が、止まった。
「…誰が?」
何を言っているのかとはる君の言葉を疑ってしまう。
「……歩夢が。」
そう言われて頬に手をあてれば、微かに濡れた。
なんで涙なんか………
「あ…、あくびしたからかな?」
慌てて誤魔化して、髪の毛を耳にかける。
だけど、16年間ずっと一緒に過ごしてきた幼なじみのはる君を、簡単に誤魔化せるはずが無かった。


