「お疲れ様でした〜」

私は【早瀬 玲奈】

居酒屋で働く20才。

高校を卒業してからここで働いている。

みんなからは、【玲】とか【玲ちゃん】って呼ばれている。

早番だった私はいつものように仕事を終え帰ろうとしていた。

その時追いかけるように誰かが走り寄ってきた。

「ねぇ!!今彼氏来てるから一緒に飲んで行こうよ。ねっ?お願い!!」

そう声をかけてきたのは、同じ居酒屋で働く友美だった。


【中川 友美】
同い年の20才。

小柄でかわいい妹みたいな存在。

付き合って二年の同じ年の彼氏がいる。



今から1時間半程前に大人数のコース予約で来ていたお客の中に彼氏がいるようだ。



「えっ?うん…いいけど…」

人見知りの私は正直あまり乗り気ではなかったが、あんな風に頼まれると断れなかった。


「友美、こっち!」

友美の彼氏が手を振っている。

軽くお辞儀をして端っこに座る。

みんなお酒が入っているからテンションが高い。

しらふの私は着いていけない。



「わりぃ〜遅れた!!」

そこに一人の男の子が入ってきた。

(かっこいい…)

思わず見とれていると、友美がニヤつきながら私の顔を覗き込んできた。

「優君かっこいいよね」

「えっ!?別に…そぉいうつもりじゃないからね!」

「そぉいうつもりってどんなつもり〜??」

友美は更にニヤつきながら私を見る。

【桜井 優】
同じ年の20才。

友美と同じ中学。

友美の彼氏涼君と仲がいい。

現在彼女はいないみたい。



友美がいきなり

「優君!!この子玲ちゃん」

(えっ!?ちょっと…)

「あっ…どぅも!はじめまして!」

さわやかな挨拶。

「あっ…はじめまして…」

人見知りの私は、ぎこちなく返す。

友美はニヤニヤしながら私の様子を伺っている。


友美は、きっと気をきかせてしてくれた事なのだろう。



でも私は、まだ好きという訳ではない。

ただ【かっこいい】って思っただけだもん…。