「行くよ」

 おもむろに姉が立ち上がり時弥を見下ろす。

「行くって……どこに」

「初詣」

「こんな時間から?」

「こんな時間だからでしょ」

 茜は白いコートを着こんで時弥のオーバーをハンガーから外し手渡す。

「……」

 相変わらず俺に選択権は無いのね。と小さく溜息を吐いてオーバーを受け取り立ち上がった。