抵抗するのも疲れた私は大人しく座って風見さんにされるがまま。
頭上から聞こえる鼻歌に最後とばかり、盛大に鼻で笑ってやると
こめかみに両方から握った拳を当てられてぐりぐり。
「笑ったのはどこの子だ。」
「あでででで…!」
「うわっ。色気のいの字もねえ。」
「黙れ犯罪者。」
「おーおー。誰が犯罪者だコラ。」
「キモい鼻歌歌ってたオッサン。」
「……やめた。俺は必要以上に傷つきたくない。」
私と風見さんが話し出せば、必ずこうなってしまうようだ。
一応言っておくが、私も口は大分悪いけど風見さんも十分悪い。
そんな二人が会話を交わせば、まともな会話は数分も保たないだろう。
「なあ、茉希はさ。青とどういう関係なわけ?」
「…対戦相手、みたいな?」
「は?対戦相手?んだソレ。」
「対戦相手は対戦相手ですよ。」
「ぱくんなよ。」
「風見さん流の現代の最先端言語とやらをつかってみました。」
「中々いかしてるだろ。」
「そんなわけないでしょ。」
風見さんの【ダークオーラ微笑み付き】を注文してしまった私には、再びぐりぐりがお見舞いされた。


