「ああ、はい。」
こくりと頷いた私にさっきよりも満面の笑みを浮かべると
「やっぱり~!あなた綺麗な顔だから覚えてる!
棗、あなたのお名前聞きたいな」
「…茉希。菅原(すがはら)茉希」
「茉希ちゃん?よろしくねっ」
掴まれ、力強く上下に振る手をそっと握り返す。私が綺麗なら、世界中の綺麗な人が泣いてしまう。
ん?前にもこんな会話あったな、
「さて。挨拶は終わったかな?」
隣で見ていたらしい青の声で、私たちの手は離れる。
相も変わらず棗さんはにこにこと笑い続ける。
「茉希、来たことあったんだ?」
「うん、まあ…。たまたまね」
目の端に私を映して頭上から見下ろす青に答えると、隣で棗さんが思い出したように声を弾ませながら話し出す。
「茉希ちゃん、ペアで人気のピアス買ってくれたの♪
それも、青色の石が付いて…」
「な、棗さんっ!」
瞬時に棗さんの言葉を遮るが、ほとんど言ってしまった後に近い。
「ふ~ん?」
すごく意味深に笑う青。
見上げるように睨み上げるが、
「な、によ…?」
青の最早にやにやに近い笑みに恐怖さえ覚える。
「゙誰とおそろい゙にするつもりだったの?」


