そんなことを考えていると、右手を掴まれる。
顔を上げると、微笑んだ青の左手が私の右手を捕まえている。
「行くよ」
引っ張られるがままに歩き出す私。前を歩く男は鼻歌なんか歌いながら歩き続ける。
「ねぇ、どこ行くの?」
「んー?秘密」
あたしの問いかけにも気分良さそうに弾む声で答える青の意図はまったくよめない。
あれ。私って本当に占い師?これぐらい相手の顔みてよまなきゃ。
……やっぱり、苦手だ。
しばらく歩いていると、ピタリと青の足が止まる。
ぼーっとしていた私はそのまま顔面から青の背中にぶつかった。
「ぶふっ…」
――…何とも女らしくない声だ。
うん。何だか悲しくなってきたかも。
「着いたよ」
ぱっと顔を上げ視界に広がったのは見覚えのある店内。
……ココって、
「あっ、あっ君!」
「久しぶり、棗(なつめ)」
店内に響く甲高い声の主を見る。
…やっぱりそうだ。


