「口、開けなよ」
あの命令口調の青に脅されて、最終的には(半泣き状態で)素直に口を開いた。
突っ込まれたフォークがすっと抜かれたら、口に広がるカルボナーラの味。
「美味しいっ」
「ね。もう一口食べる?」
「あ、いやもう結構です!」
あまりにも必死な私をくすりと笑う青。
む・か・つ・く!!!!
青は憎たらしいけど、カルボナーラに恨みはない。本当に美味しいし。さっきも言ったけど、ファミレスなめちゃダメだな。
口に運ぶ手を止めることなく、食事を済ませた私と青。
レジへ向かうと、さっきの女の人が満面の笑みを浮かべて駆け寄って来る。
「998円になりま~す」
「あ。お会計分けて…」
バッグから財布を取り出して、店員さんに言いかけた、が
「いいです。千円で」
「ありがとうございました」
私が払う前に青が支払いを済ませてしまった。お釣りを受け取り店内を後にする青を急いで追いかける。
「青!お金っ、私払うよ」
「いいよ。俺が出したいだけだし」
「私が嫌なの!」
「…ホント、聞きわけないねえ」


