一気に近くなる距離に、胸の高鳴りは半端じゃなくて。
急な展開に頭がついていかない。
顔が、近い…っ!
息、かかってる…っ!!
「ああ青っ!何、してんの…っ、」
「分かんない?」
青の顔には、さっきの悲しそうに歪む顔なんか微塵も感じさせないようないつも通りの不敵な笑み。
「離れなさいよ…!」
「嫌だ、って言ったら?」
「ふざけんな。」
「茉希、」
すっかり青のペース。こんなん、私らしくない。
確かに乗せられやすい性格だったりはするけど。人のペースに乗せられ続けるのは嫌いだ。性に合わない。
耳元でいきなり囁かれた甘い声に、びくりと肩が上がり体が硬直してしまう。
「…茉希?」
「やめ……っ、」
「俺のこと、拒否するな。」
次に鼓膜に響いたのは背筋が震えるほど、威圧的な声。
遮る事なんて…出来るわけがない。


