振り返り、肩を叩いた人物を確認するために視線だけ上へと送る。
「…なんだ、杉山さんですか。」
今日もいつも通りサングラスをかけている杉山さんは、にっこりと笑うと
「電話だよ。」
そう言って、私に子機を差し出してきた。
ソレを私が受け取ると、足早に踵を返してどこかへ行ってしまった。
「(…てかどこの子機だよ、コレ。)」
サングラスが消えた方向を睨みつけながら、子機を耳にそっと近付け。
「…もしもし?」
『だーれだ。』
……何この漫画でよくあるような第一声。
誰からか分からない電話に出たら、お決まりの台詞。声で気付いて、キャッキャッみたいなやつ。


