「茉希。」

「…青。」


バイト先を出て、目の前の電灯の柱に寄りかかるようにして立つのは、酷く妖艶で綺麗な顔をした男。


「よいしょ」と言って、もたれかかっていた体を起こし私に歩み寄る青を見上げる。



相も変わらず、綺麗すぎる顔である。

肩を並べ歩く二人の間の手は、指を絡めて解けないように繋がれている。


その温度が心地よくて、繋ぐ手に少しだけ力がこもってしまった。青もそれに答えるように、少しだけ強く握り返してくれるから、自然に頬が緩んだ。



「俺、茉希を待ってる間ずっと考えてたんだよね。」

「何を?」



歩く足は止めないが、楽しそうに話す青の横顔を斜め下から見上げた。