後ろから何かをまだ言い合う声が聞こえるけど関わるのはよそう。
「ちょっと待っててね。」
そう言われて広い畳の部屋に連れてこられた私は、座布団の上に座り一人この空間に取り残された。
置いてかないでよ、と。直ぐに青が部屋に入って来たからそんな時間は数分もなかったけど。
――この男に、緊張という字はないのか。
…ある訳ない。今まさに顔を近づけて来ているような馬鹿なのだから。
って、本当に馬鹿!
時と場所を考えろって前に言ったはずなのに…っ!
「やめろ馬鹿!」
「えー。いいじゃん。」
いい訳あるか!!
青から離れようとする私に対して腰に腕を回してきてにこにこ笑う変態。
それを防ごうと格闘していれば、広間の襖が開いた。
ドキリと心臓が高鳴るとともに額をつたう嫌な汗。ああ、もう……帰りたい。


