占い師の恋【完】



笑顔でそう言葉を投げかけ、私に近寄ってくるのは杉山さん。

店長は返事を返すことはせずに、さらに難しい顔をして俯いている。


「…どうしたんですか?」


私が杉山さんを見上げて聞けば、杉山さんは「んー?」と聞こえてるはずなのに一度聞こえていないようなフリをして。


「時期に分かるよ。」

「……。」



何かを含んだように笑うので、私はそれ以上は追求しないでおいた。

厄介事はごめんだ。
そういうのは好きじゃない。



あ、そうと何とも素っ気なく言葉を返せば……、何故か嬉しそうに笑う杉山さん。

今日の杉山さんは何だかヘンな感じだ。


目の前で私を見下ろす人物に違和感を覚えたものの、店長に声を投げかける。



「遅くなってすみません。こんにちは。」

「……あ、ああ。こんにちは茉希ちゃん。」

「……。」


今日のバイト先はおかしい。って言っても、この部屋の雰囲気がだけども。