次の瞬間。
有り得ないほどスピードを出す風見さん。
ギュンギュンと周りの景色は瞬く間に変わっていく。ちょっと!今赤信号…!
交通法に違反している風見さんの車にこのまま乗り続けるのは、危険だと脳が知らせる。
隣でハンドルを握る風見さんの横顔はまるで王様。
堂々たる風貌の中には、「おらおらお前等退けねえとひき殺すぞ道をあけろ馬鹿野郎」みたいな。
我が道を行く最低なオッサン。
そのおかげがあってか。あったとしても二度と遅刻しないと思った風見さんの運転にて。
私は12時57分という奇跡的な時間に仕事先のお店へ到着することができたのだった。
お礼を告げて車から降りるとダッシュで店長の元に向かう。
ノックもせずに、ドアを開けた私の目の前に立つ人物に吃驚する。


