壁にかけてある時計に目をやって時刻を伝える。
何時かなんて、馬鹿にしてるのか。そんなん分かるに決まってるだろ。
『じゃあ、今日のバイトは何時からだー?』
「今日は確か13時………うわああああああ!!!」
『はーい急げー。あと30ぷーん。』
多少のパニックに陥って叫ぶ私を、電話越しの杉山さんはクスクスと笑った声で急かしてくる。
電話を切ることなく携帯を投げ捨てると、大変なことに気づく。
ここ、棗ちゃんのマンションじゃん…!
その事実にさらに全身から血の気が引く。
お風呂、着替え、どうしよう!
「ななな棗ちゃん!ここから私のバイト先まで走って何分!?」
「えっと…20分くらい?」
NOOOOOOOOOOOOOO!!!!
じゃあせめてもの後10分で用意しなくちゃいけないじゃんか。
無理無理無理無理無理無理無理っ…!
確実に遅刻。やばい。泣きそう。死にたい。
あわあわと慌てふためく私の携帯を手にとってのは風見さんで。


