さて。言ってしまっていいものか。

これはあくまで私と、お父さんの問題なわけであって。この二人を巻き込んでしまってもいいのだろうか。


そんな私の心境を読み取ったように、棗ちゃんはそっと私の手を重なるように握り。

風見さんは瞳に私だけを映してふっと笑う。


「お前が中途半端じゃねえなら、俺も中途半端にお前を知れねえって。前に言っただろ。」

「風見さん、棗ちゃん…。」


ぶわっと溢れ出した涙を拭うことも出来ずにただ流し続けている私へ、棗ちゃんがハンカチを渡してくれる。

ついでにティッシュも風見さんが渡してくれて、遠慮なく鼻をかませてもらった。


少しは遠慮しろよ、と。笑った風見さんを口を尖らせて睨んだ。



さあ言え。
とでも言いたげな顔でふんぞり返る風見さん。

何でそこまで偉そうなのか疑問に思う。コイツが威張ることなんか一つもないだろうに。


「風見さん…、」

「何だよ。」

「ばーか。」