カッと紅色に染まった頬に冷たい手を這わせてニヤリと笑い
そりゃあもう、私の幼稚な心なんて見透かしたように。
「茉希が俺を欲しがるまで、後5秒。」
「っ…。」
カウントダウンが始まった。私の心全部奪っていくカウントダウンが。
危険信号が赤を点滅させている。警報が危ないと脳内に鳴り響いている。
ここで離れなきゃ
確実に捕まってしまう。
私を見る青の目から目を逸らせない。
ただただ見つめ合うこの空気と距離がもどかしい。
「ごーお。」
どうしてだろう。
「よーん。」
こんな中途半端で逃げてばっかの男。
「さーん。」
きっと、勝手に近寄ってきたのに勝手に去っていくんだ。
「にーい。」
頭では、分かっているのに。
「いーち。」
どうやら。
「ゼロ。」
体は、主人の命令を受け付けないようだ。
「…ムカつく。」
私は青の服の襟元を掴んで自分の方へと引っ張ると
爪先立ちになり背伸びをし
自分の顔を斜めに傾けて、青の唇に自分のそれをぶつけた。


