それは私の心臓を停止させるほどの緊張に値して瞬きをぱちぱち、と繰り返す。
それに集中して気を紛らそうとしてみるが、少し青のムッとした声が耳元で吐息と共に囁かれる。
「余裕そうだね。」
「(そんな訳あるか…!)」
力のない目で睨みつけるがゆるりと笑顔で流されてしまう。
掴まれていない片手で青の胸板を押す。
まあ、そんなものは仮にも男な青に力で適うはずはないのだが…。
「茉希…、ピアス。」
「は…?」
突拍子もない青の言葉に片眉を寄せて挑発的な言葉を返してしまった。
だって意味が分からない。イキナリ、ピアスなんて言われても。
それがなんだって話だ。
「だから、ピアス。」
「…何のよ。」
「棗の店で買ったって言ってた、ジンクス付きのピアス。」
「あ…、ああ。アレが何。」
そこまで言われて記憶の引き出しから出てきた青い石が付いているピアス。
にこりと笑った青に背中に冷や汗が流れた。


