「噛んじゃ、駄目。」
「…っ、」
「ごめん茉希。嘘だよ、いや…ちょっと怒ってたけど。
……泣かないで?」
するり。青の冷たい指が私の唇に触れる。
吃驚して閉じていた瞼を上げれば少し屈めて私の目線に合わせていた青のビー玉とかち合う。
ドキリと胸が高鳴り頬に熱が集まる。
「なっ…、」
近いと伝えるように後退したが逃がすまいと腕を捕まえられ引き寄せられる。
一瞬のことに抵抗することも出来ず腰に回された腕に心臓はさらに暴れ始める。
「ち、かい…っ!」
「だね。」
「(だね、って…)」
「茉希。俺言ったよね。茉希の心ごと全部貰うって。」
昨日電話で告げられた言葉を再度告げられてボッという効果音が付く勢いで顔に熱が集中する。
恥ずかしくなり俯いた私がお気に召したようで、クスクスという笑い声が脳にこびりついて。
体の芯から擽ったくなり青の手から逃れるように身を捩るが、上手く合わせてさらに身をくっつけてきた。


