占い師の恋【完】





「…ごちそうさまです。」


カップを机に置いて立ち上がる。
言い争いをしてたオッサンズの視線が私を捉えて


「はーい。あ、これお客さん表ね。」

「茉希ちゃん何時からだっけ?俺ももう出よう、店長ムカつくから!」


店長からお客さん表を受け取って軽く会釈。
私の後を付いて来るように同じく席を立った杉山さんと部屋を出た。



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「茉希ちゃん、今日シフト違うよね?」

「はい。9時なんですけど…、早く来ちゃったんです。」

「おっちょこちょいだ~。」

「…。」



あははと笑うこの男にだけは馬鹿にされたくない。睨みつけると思ってもないこと丸わかりな棒読みで謝られた。


こいつはいつか心の病に追い詰めてやる。

私の恐ろしすぎる考えを察したのか今度は本気で謝ってきた杉山さんを鼻で笑う。




「俺も9時からだから何しよう。」

「…杉山さんだっておっちょこちょいじゃないですか。」

「俺は違うのー。」

「アルツハイ…、」

「マーは違うからね!」



私の言葉を遮って断定した杉山さんに「冗談ですよ」と笑っておく。

ならいいよと微笑んだ杉山さんの顔が、兄弟だからだろうか……。


一瞬青の笑顔と重なった。