占い師の恋【完】





「はいブラック」と杉山さんにおかわりを渡すが店長は砂糖とミルクはその手にはもうない。

「出せよ」って顔で店長を睨む杉山さんに「ブラックが飲みたいんだろ」と鼻で笑って挑発。



どうしてわざわざおかわり頼むかな。
多少所か大分呆れ顔で苦笑いの私は熱いブラック珈琲に息を吹きかけ飲み込む。

苦味が口に広がって美味しい。



「よく飲めるな。ブラックなんてブラックなんて…、」



隣で小言を言いながら珈琲をちびちび飲む杉山さん。横目で私を見る視線に溜め息。


「もううざい。店長、ミルク入れてあげてくださいよ。この人面倒くさいです。」

「何それ。面倒くさいって何。俺先輩だよ…、」

「杉君は茉希ちゃんの先輩で僕は杉君より目上だよ。もっと敬え馬鹿。」

「俺店長だけは無理。」



また始まった2人の静かなる言い争いをもう黙って観戦していた。

首突っ込んだら面倒くさそうだし、オッサンズは怠いという私の中でレッテルが貼られている。


時々見せる優しさとか大人な雰囲気は今この空間には微塵も感じられない。