占い師の恋【完】





杉山さんが腰掛けていたソファの隣に腰掛けると上質なソファの軋む音。

隣に座る私をキッ、とまったく怖くない顔で睨んだ杉山さんは



「これを苛めと言うんだろうな。職場苛めだ!」

「何言ってるんですか。喚かないでください。」

「何か茉希ちゃん今日一段と冷たい!

何で!?どうして!?」



ちょっと近い杉山さんとの距離を心底鬱陶しいと思う。
ギャーギャー騒ぐサングラスを「うるさい」と一喝。睨んで怯ませると後は無視。


完全に落ち込んでしまった男はふててブラックを喉に流し込む勢いで飲んでいた。


プハアッ、とビールでも一気飲みした時に良く聞くそれを珈琲でやったサングラスに




「はい杉君ミルク。砂糖もあるよ。」




なんだなんだ。
私の周りにはサディストしかいないのか。

杉山さんの目の前に砂糖とミルクを突き出すその姿はサディスト以外の何者でもない。


「ほら受け取れよ欲しかったんだろうが砂糖も付けてやってんだぞ」って顔には悪魔が見える。



「…おかわりくださいブラックで!!!」


この男の強がりも救いようがない馬鹿だ。