冷たくなったヒールに脚を滑り込ませて部屋も後にした。
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バイトは確かにある。
それは間違いではないんだか…。
(出るのが早すぎた…。)
バイトに行かなきゃ行けないって気持ちが先走ったって言うのかな。とりあえず7時も来てないのに出てきてしまった。
バイト9時からだし。
どうしよう……、
もうすでに何度目かなんて分からない溜め息を吐き出して、そのままバイト先に足を進める。
変わっていく景色はこの前と何ら変わらないのに、それを見る私の心はこの前とは遙かに違う。
そうこうしている内にお店に到着していて。
一応店長に挨拶に向かう。
「おはようございまー「店長!俺珈琲ミルク多めって言ったじゃないですか!!」
「僕、杉君腹立つー。ブラックで充分だろ。」
「うわっ!今度店長のカップの縁にカラシ塗っといてやる!!」
間延びした私の挨拶はそこにいた男2人の声にかき消された。


