占い師の恋【完】





「茉希…?」

「………何。」

「こっち向いてよ。」

「嫌だ。」

「向けって。」

「嫌だ。」

「向け。」

「…、嫌だ。」


ずっと「向け」「嫌だ」の繰り返し。小さな戦場は最終的にしつこさに負けた私が青に向き直る形となって終わりを告げた。

二人を包む沈黙が気まずくて、数分青に目を向けられず俯いたまま。
そんな私を知ってか知らずか…。

青も喋ろうとしては言葉を飲み込むという動作を繰り返している。


見てないのに分かるのって?



だって、「あー…」って言っては「んー…」って言うのにプラスでうろうろ歩いてはまた「あー…」ていう奇妙な行動の繰り返ししてるからね。


ハッキリ言って気持ち悪い。鬱陶しい。鬱陶しすぎるんだよ。



「……、何なのよ。」

「あー…、うん。」

「(話すんじゃなかったのか…。)」

「(茉希、怠そう…。)」


煮え切らない青の態度に苛々がピークまで来ていた時。やっと青が口を開いて言葉を紡いだ。


「俺が誰だか知りたい?」



青の言葉はあまりに唐突すぎて理解できない。