そこは私が父と母とよく来ていた場所。
この場所を知っているのは私と父と母と相模・・・。そして七海。
七海は私の一生の友だちだから。
でも・・・。もう家族のような存在。
この場所は父と母が亡くなってからもよく一人で来ていた。
ここに来ると悩んでる事があっても忘れられる。
空を見上げると一面に広がるたくさんの星が曇った心をきれいにしてくれる。
ここで私はいつも父と母に話しかけてる。
たくさんの星の中にある輝く2つの星に向かって・・・。
『お父さん。お母さん。七海に少しでも今までの恩返しできたかな・・・?
相模ね?ずっと好きだったんだよ。
私が気付かないわけないのにね??
2人の幸せな顔見れてよかった。こっちまで幸せな気分だよ。
でもその反面・・・。羨ましかった。
だからあの場にこれ以上いれなかった。』
2人に気を使った部分もあった。でも・・・・。
本当は醜い自分の姿を見破られたくなかった。
あの2人は勘が鋭いから・・・。
それに私の気持ち知ったらあの2人せっかく気持ちが通じあったのに『付き合わない』
とか言い出しそうだし・・・。
『ねぇ・・・?お父さん。私ね。智と別れてでもこの子を授かって・・・。
私って幸せなのかな・・・?
もし私が組長じゃなかったらなにか変ってたかな・・・?
でもね・・・。佐山組の組長でよかったって思ってるの。
うちがやくざ一家でよかったって・・・。
だってそうじゃなかったら、七海ともこんな絆できなかったし相模や青葉。
みんなにも出会えなかった。智にも・・・・。
佐山組が私の今の幸せの形だって・・・。信じていいよね・・・。
お父さんが守ってきたこの組を私の代ではつぶさせない。』
私は決意を込めてその場を後にした。
組に帰ると時計の針は深夜の2時を指していた。
みんな寝ていると思い静かに玄関の扉を開けると・・・。
「組長!!!!!」
『えっ??相模?どうしたの??』
顔色を変えた相模がこっちに向かってきた。
その後ろを七海が泣きはらした目で。だけど私の顔を見るなり
見る見る鬼の血相になっていく七海・・・。
『えっ・・・私なんかした・・・』
「・・んでよ・・・」
『えっ??七海ごめん聞こえない』
「なんで勝手にいなくなるのよ!!!」
『えっごめん!!いなくなったつもりはなかったんだけど・・・。
ちょっと行きたい場所があってそこに行ってたの・・・。』