「は??椿・・・。お前何言ってるんだ??。」
智の顔は今までに見たことのないくらい必死だった。
その顔をみただけで私はもう十分だよ・・・。智・・・。
その顔で伝わったから・・・。智が心から私を愛してくれていたこと。
智のお母さんは私が何を思っているのか分かったのか涙を流していた。
智のお母さんは勘が鋭いから・・・。
『智??もう十分・・・。あなたに一生分の愛をもらったから。』
「意味わかんねぇんだけど。」
『智・・・。智が一番気付いてるはず・・・。自分の気持ちに・・・。
智の心には今も美桜さんが生きてる。』
「・・・。なんで・・・。美桜の事知ってるんだ??」
智の目は大きく開かれた。
『私を誰だと思ってる??佐山の組長・・・。』
「・・・美桜はもう関係ない。」
『智??智が美桜さんの面影をサクラちゃんに重ねてることくらい分かってる。
見ててわかるよ・・・。』
「そんなことない!!!」
怒鳴る智とは反対に私は自分でも驚くくらいに冷静だった。
『智??サクラちゃんは美桜さんじゃない。
でも・・・。美桜さんが智の心から消えることもない。
智・・・??今まで苦しめて困らせてごめんね??
智??もう私を守らなくていいから。智はサクラちゃんを守って??』
「な・・・に・・・言ってんだ??」
『智は私かサクラちゃんどちらを優先するか迷ってたよね??
迷ってくれた気持ちだけで私は十分。
智の苦しみを軽くするために別れよ・・・。』
「別れない・・・。」
『別れるの。智・・・。智の気持ち私に守らせて??
智はきっとこのままだと自分の本当の気持ちを押し殺して私のところに来てくれる。
智は優しいから。
だけど・・・。私はそんなこと望んでない。
愛する人の気持ちを殺してまで。私は生きようとは思わない。』
「俺はみんな守る!!!」
智の声が一層大きくなる・・・。

