そんな私の肩にそっと手をかけたのが智のお父さんだった。
『ありがとう。そこまで私達家族の事を思ってくれて。
でも・・・。智の父親として。一人の男として言わせてくれ・・・。
君が大切な人を失いたくないように智も君を失いたくは無いんだよ・・・。
だから・・・。智に君を守らせてはくれないか??』
「でも!!」
『智は死なないから。あなたを残して死んだりしないから。』
そう言ったのは智のお母さんだった。
『君は今日智とサクラを守ろうと逃がしてくれた。それだけで十分だよ。』
智のお父さんの言葉で私は子供のように泣き出した。
そんな私を智は優しく包み込むように抱きしめてくれた。
でも私はこの時すでに分かっていたのかも知れない。
私がいつか命を落とす事を・・・。
その日は智に家まで送ってもらった。
初めて私の家を見た智は・・・。
『でけーな!!』
「そうかな・・・?少し上がる??」
『いや・・・。組の皆に話あるだろ??』
「分かった。今度は普通に遊びにきてね!!」
『おう!!』
そう言って智は帰っていった。
私が玄関に入ると
「「おかえりなさい!!」」
大勢の組員が出迎えてくれた。
「龍雅。寮にいるみんなも呼んで。広間に集めて。」
『はい。』
佐山組の組員は100人以上。その中でも最も佐山に関わっている者が本家に住めて、
まだ高校生の子や新入り。家がないやつなどを隣の寮に住ませている。
龍雅に頼んで10分後・・・。広間に皆が集まった。
「こんな時間に集めてごめん。
今日松川組が私にこの手紙を渡してきた。」
そう言って私は龍雅にその手紙を渡した。龍雅はそれを読み上げた。
中には動揺を隠しきれない者もいた。だんだんと広間が騒がしくなってくる。
「・・・・。静かにしろ!!」
私の怒鳴り声で皆静まり返った。
そんな時龍雅が声を発した。
『これからどうしますか??七海さんに連絡はしましたか??』

