そこに咲くかたち。

ももちゃんは目を丸くしている。 
動きが止まって、ただ驚いた顔をしてあたしを見ている。 


何も言わないのか 

何も言えないのか……。 




当然だよね。 
今更なのは分かってる。 
でも… 


「…分かってるよ。 
だからってどうにもならない事。……ももちゃんには、もう……奥さんも…、子供も……いて…。
でも、あたしね…、後悔してる。」 

あたしは濡れた自動販売機に寄りかかって、手を胸の前に出し、手の平に落ちる雪を見た。 

ゆきはすぐに溶ける。 

「愛……」 

言い掛けるももちゃんをあたしは遮った。 
聞いてほしくて、遮って…
ももちゃんの目をジッと見た。

「どうしてあの時、考える事を放棄して…、1人で逃げちゃったんだろうって…。」

「…………」



雪が変わる。 
塊の牡丹雪が、……さらさらの粉雪に…。



「ももちゃんだって…、傷付いてたハズなのに…。
…………ごめんね…。」 



好きなら…… 





一緒に立ち向かって、支えてあげればよかったのに…。 




「愛希。」 


「…………え…。」 




ももちゃんは 







あたしを抱き締めた。 







強く。 
強く…。 






不思議……。 



雪の降る音が……聞こえた気がした。 






「愛希………、オレ…。 オレは……………。」 

ももちゃんはあたしの耳元で呟く。