そこに咲くかたち。

「……彼氏とか、できた?」 

「へっ?」 


長く続いた沈黙の後に、突然予想できなかったももちゃんの質問に、あたしは真顔で固まった。 

ジッとあたしを見るももちゃんの顔が、急にふと笑った。 

「ごめん。聞いちゃいけなかった?」 

「は?……どういう意味?」 

「……………」

なにも答えず笑うももちゃんにあたしはつい、言ってしまった。 


「…いるよ。……カレシ。」

「え……。」


つまらない見栄。

言った途端、虚しくなった。

話を反らしたくて、
あたしは聞きたくもないことを、口にした。




「……彼女…、奥さんどう?あかちゃん、もうすぐ産まれるんでしょ?」



何言ってるんだろう…あたし…。

言ってもどうにもならない。
聞いてもどうにもならないのはわかってる。

どうにかなるなんて思ってない。 


思わず口にした、二つの言葉に、あたしは後悔した。


でも……


あたしはあの日を思い出した。
『奥さん』
疎の言葉に自分で苦しむ。




……これは…





『後悔』だ。








どうしてあの時、
あたしは戦わなかったんだろう…。 



どうして…、 
『もう、いいや…』なんて…
カッコつけて、言っただけだ…。 



あたしは逃げたんだ。 





『もう、いいや。』は、





譲ったんじゃない、
嫌いになったんじゃない、 





考えることを、 
戦うことを放棄しただけだ。 




『あかちゃんのため』 
って…、そのせいにしてた。 













『あたしだって
   ももちゃんが好き!!』 

そう……


言えてたなら…。





あの時の、 

あの日最後に見たももちゃんの顔… 


何かを蹴った音。 





ももちゃんからしたら、 

簡単に引いたあたしの方が 




裏切り者だったのかな…?