そこに咲くかたち。

ももちゃんは動きが止まっている。

「どうしたの?」 

カノンちゃんが言った一言で張り詰めていた空気が弾けた気がした。 

あたしは運転席の窓を開ける。

「帰るね。」 

カノンちゃんを見て、あたしは手を軽く上げた。 
ももちゃんの顔は、見ない。 

「愛希ッ!!」

手を降ろそうとした瞬間、ももちゃんがあたしの腕を掴んだ。

あたしはビクッとして……、顔を見た。
真剣な顔。 


「え……?なに…?二人…」 

カノンちゃんは、状態を把握できてない。 
…当然だけど……。 

「待ってて!!ここで!」
「は?」 

言ってる意味が分からない。 
ももちゃんは自分で持っていたキーケースから、鍵を1つ外して、あたしの手に握らせた。

「え…これ……」 

ももちゃんがあたしに渡したのはアパートの鍵だった。 

「春菜!送るから。」 

「え?ももちゃん?なんでぇッ?」 

ももちゃんはカノンちゃんの腕を掴んで、目の前の駐車場にある自分の車に乗せた。

「ちょっと……!」 

あたしは車から出た。
ももちゃんはもうエンジンをかけていて、窓を開けて、あたしに叫ぶ。

「すぐ戻るから!待ってて!!すぐだから!!」 

カノンちゃんを乗せたももちゃんは車を走りださせた。 


目の前を通るとき、カノンちゃんの顔がチラッと見えた。 


まだ、状況が理解できていないような…、不思議そうな顔だった。