そこに咲くかたち。

「カノンちゃん!あたし……」 

あたしはブレーキを踏んだ。ももちゃんのアパートが近付くにつれて、あたしは不安なドキドキが増して…、どうにも視点が定まらなくなる。 
どうにもならない。 

「なに?」 

「あたし…ね………。」

「あ、着いてる。もう、そのアパートなんだ。ここでいいよ。」 

「えっ!?」 

あたしは車の外に顔を向けた。目の前にはアパート。『メゾン・シンフォニー』の看板が見えていた。

「ありがとう。みさきちゃん。あたし今日は…」 

「や、待っ、ちょっと待って!!」 

あたしは異常に焦っていた。こんなに焦る意味が分からないけど…。でも、『言わなきゃいけない』って思いが、胸いっぱいに広がって…、苦しくてたまらなかった。
怖かった。

なんだかすっごく 


怖い………。 



「みさきちゃん?どうしたの?」 

手で顔を覆い隠すようにしているあたしを、カノンちゃんは覗き込むようにして言う。 
心配してるような声。 
何も言わないあたしの頭をポンポンと優しく叩いた。

「あたし…知ってる…の…。」 

「ん?」 

「あたし……」 


コンコンッ 




窓をノックする音がした。 



あたしは助手席の方を向いて座っていた。 





音は運転席の窓。 





コンコンッ 






あたしは振り向いた。 






助手席からは見えない位置。 







運転席しか見えない位置。 










ノックしていたのは……。







「も……ももちゃん……。」 










あたしが呟くように言ったのと同時に、カノンちゃんは外に出た。