そこに咲くかたち。

その後、もう少しだけメールをやりとりして……


終了させた。 



なおくんの彼女は、 
海ちゃん。 
なおくんより2コ上……つまり、あたしとタメ。 
なおくんとは付き合って3年。 
仕事は………
パティシエ。 



パティシエ? 



あたしは…思い出した。 


二人で海に行ったとき、なおくんが作ってきてくれたケーキ。 


その何日か後に、あたしが盗み聞きした電話……。 







悔しい。 



なんか悔しい。 
ムカつく。 



わかってる。 
結局はお互い様だった事だから、あたしにムカつく権利も責める権利もないのは分かってるんだけど……。 

悔しいよ……。 



あたし…… 


元カノとの事は確かに疑っていたけど……
でもそれは、連絡取ってるとか、会ってるかもしれないとか……、そういうレベルのつもりだったのに……


まさか 
普通に付き合ってたなんて…… 



もう、なおくんに会うつもりなかったけど……


釈然としない気持ちが、あたしの心を支配してゆく。 

アドレスを元に戻して、あたしはケータイを眺めていた。 


何もしちゃいけない。 


あたしは、ケータイが折れるほど、強く握り締めた。
ベッドにうつ伏せに寝た。枕に顔を押しつける。 


泣きたくない。 
泣きたくない。
泣きたくない。


そんな想いに、あたしは自分のもう一つの気持ちを実感した。 



なおくんを好きだった気持ち。 



ずるい想い。 
二つあった気持ち。 



最低なあたしの 
最悪な恋愛。 









ももちゃんとだけは 
どうか…… 
こうはなりませんように……。


こんなあたしの願いでも、
神様はきいてくれるのかな…。